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生産方式による苗の違い

.実生と挿し木苗の違い
通常実生で育てた苗は寿命が長いと言われます、また強健にもなる特徴があります。
寒地の植物を暖地で、暖地の植物を寒地で育てる場合にも環境適応能力が増す事も知られています。その一つとして根の形状の違いにあります。実生苗では直根があり、挿し木苗では直根がありません。直根とは植物に取って大きな意味を持っています。
またその栽培環境に適した個体だけが生存出来ますので自然と丈夫な物だけが育つ事にもなります。
これは一種の選抜育種としての意味も持ち合わせております。また変わった個体を見つけ出すためにも有効な手段にもなっています。
けれども園芸の世界では優れた物、綺麗な物を要求されますので実生の価値が余り発揮出来ません。
実生苗の最大の欠点は「親と同じ物が出来ない」と言う最大の難点があります。
通常では親に良く似た苗が育ちますが、親のコピーではありません。園芸の世界では原種繁殖以外では実生生産は利用する事はほとんどありません。
余談になりますが、一代交配とか、F1と言われる草花の種などではこれらの種子から播いた物になります、この場合には親とそっくりではありませんが両親の良い性質だけを受け継いだ均等な性質を持った苗が得られます、けれどもこの苗から種子を取って播いても親と同じ植物は作れません。
一定の比率では親と同じ物が育ちますが現実的ではありません。それぞれの優れた物同士を交配して得られた種子は素晴らしい遺伝子を持ちますが、残念ながら一代限りとなってしまいます。
不思議な事に同じ交配組み合わせでも、種子親と、花粉親を取り違えただけでも変化してしまうと言う遺伝子の不思議な世界もあります。
通常、親と同じ物を育てる場合には「栄養繁殖」と言いまして、挿し木が最も多く利用されています。
その他の栄養繁殖としては、取り木、接ぎ木、成長点培養がありますが繁殖の手段として挿し木と、接ぎ木が最も多く利用されています。一般的な繁殖方法としては挿し木が最も多く、より完璧な苗生産の手段として「ミスト繁殖」が利用されています。

.接ぎ木苗とは
接ぎ木とは !。一口で説明すると、それぞれ異なった個体をつなぎ合わせる事です。
人間で例えるなら外科施術と似ています。全く性質の異なる物同士で繋ぎ合わせる訳ではなく、親和性と言いまして接合可能なグループ内でのみ行う事が出来ます。植物の分類には一般的に、科→ 属→ 種→ 品種という風に分類されています。この中で「属」か「種」同士が接ぎ木として親和性があり、接ぎ木が可能という事になり、その中からより台木として適している物を見つけて接ぎ木の台木を選定します。台木とは根に当たる部分を言います。この根に、目的の品種を穂木として使用して接ぎ木苗が誕生します。これが接ぎ木の基本的な理論となります。
果樹苗では100%が接ぎ木苗で販売されています。根の部分にビニールテープが付いた状態で売られている事があるので春の時期に観察して見るのも理解が早いです。
接ぎ木の目的として
.挿し木が出来ない、 発根しても樹勢が弱くてこの方法でしか繁殖出来ない場合。
繁殖の手段がこれしか無い場合。トウヒ、モミの園芸種では大部分この部類に入ります。例として:プンゲンストウヒ/ホプシーがあります。また果樹苗では100%が接ぎ木苗で販売されています。
.生育の極端に遅い品種。
台木の強健性、高い成長量を利用して短期間に販売可能にする場合に利用します。例として:ナナルテアなどがあります。
3.スタンダード仕立ての様な特殊仕立てをする場合等で利用されます。
ブルースターのスタンダード仕立てがその例となります。ブルースターそのものからのスタンダード仕立ても不可能ではありませんが、元来匍匐性種ですので仕立てるまでには何十年と言う歳月が無いと出来ません。当然現実的ではありませんのでこの技術が利用されます。
4.品種の特性で、根の弱い品種、根張りが悪く倒れやすい品種での改良として利用します。
ホソイトスギの仲間では、地上部は大変素晴らしい物がありますが、何れも樹勢が弱く、根張りが大変悪い欠点があります。
花工房ではこれらの仲間を全て「アリゾナイトスギ」の実生苗に接ぎ木をしております。結果として素晴らしく旺盛な樹勢と、旺盛な根張となって欠点とされる部分は随分改善されています。樹勢が弱い品種でも強健な台木に接ぎ木する事で樹勢の弱さを補う事が可能となります。
○.接ぎ木苗が高額になってしまう訳
接ぎ木苗では素晴らしい利点もありますが苗価格が高額になってしまう欠点もあります。
接ぎ木生産では台木となる品種を台木専用として別途に数年間栽培しておきます。この苗を接ぎ木用として地際の部分から切断して台木用として使用します。更には専用の施設と設備も必要となります、更に大切な事として高度の接ぎ木技術力が無いと接ぎ木は出来ません。失敗すれば折角育ててた台木が無駄となってしまいます、この事が接ぎ木苗が高額となる大きな理由です。
接ぎ木繁殖とは現在でもしっかりした数値デターが確立されていない上に、高度な企業秘密の部分も多いので世間に公開される事なく、勘と経験に頼る部分で維持しているのが実情となっています。大規模な農園でもこれらの繁殖方を利用される事は少なく、苗木繁殖の専門業者のみが扱う特殊技術となっています。

.緑葉色と斑入り種と黄色葉種&銀緑葉色の違い
植物の大部分は緑色をしています。当然と言えば当然なのですが、植物には突然変異と言う性質を持っています。通常枝変わりと言って緑葉色の植物から斑入り種が現れたり、黄色葉色の植物が出現します。綺麗に発色すれば珍品としての希少価値が出ますので珍重されて来ました。極小型種の出現もあります。
コニファーの種類にもこの斑入り種があります。しかし斑入り種は植物が持つ葉緑素が少なく、白色の部分は全く作る事が出来ません、。虚弱になるのは当然ですが、それだけでは済まないのです。
白色の部分が多く発生した箇所では、必ずその場所で葉焼けが起きます、葉焼けの部分はやがて枯れてしまいます。斑入り種の特性を知らないでお買い求めになりますと、この症状が「クレーム」となります。
これは植物の持つ特性ですから対策のしようがありません。斑入り種をお求めになる場合にはこの事をしっかり認識された上でお求め下さい。
シルバーダストではこの症状が先端部に時々現れます、当然成長点は枯れてなくなります。
しかし、植物の生理は良く出来ていまして、そのまま放置していても側枝がいつの間にか伸び出して来て、何事もなかったように成長を開始します。この症状は樹勢が付くと少なくなりますので加齢と共に減少します。一般的に斑入り種とは黄色種、銀緑種共、緑葉色種に比べますと成長力の低下と樹勢の弱さが付いています。
植物と言う物は元来1年、2年と言うスパンで対応しませんと旨く付き合う事は出来ません。
人間社会のスピードを植物に合わせる事事態が所詮無理な事なのだと言う事を改めてご認識下さい。
植物と上手に付き合うには、植物時間に合わせたゆっくりした時間を持って付き合事でしかありませ。
それでないと折角コニファーを植えても、癒しも得る事が出来ません。目と心に潤いを....です。

.直根と針葉樹
全部の種類に当てはまる訳ではありませんがトウヒ、モミの仲間では土中深く直根が伸びます。
直根は成長が停滞期に入る頃には2メートル以上、最先端までですと3メートル程度まで土中深く成長します。真っ直ぐ伸びた直根が土中深く張り地上部を支えます。
直根と地上部の成長には大変密接な関係があって直根が張り出す時期に地上部も芯が立ってきて一気に伸び出します。通常これらの仲間は1年に一度しか成長しませんので直根が張り出すまではのんびりした成長をしますので今までの成長は何だったのかと思わせる程初期の成長の遅さにはしびれを切らす程成長の遅い特性があります。これとは反対に停滞する事なく成長し続けるグリ−ンコーンなどとは生育スタイルが大きく異なると言う事をを是非理解して下さい。
「ホプシー」が高価なのは実はこの部分があるからなのです。
1年間どれだけ成長したのか疑問に思うくらい低成長をしていても、一端直根が張り出すとグリ−ンコーンにも負けない程の成長を開始します。直根が張りだした時期が成長の分岐点となりますので一日も早く直根を張り出させる事がこれらの植物を育てる上で最大のキーポイントとなります。
しかし直根は鉢栽培では発生しにくく、ある程度地上部に枝葉の財産が付かないと発生しません。
小さな時期に無理して支柱を立てても意外と上には伸び出してくれません、これは直根との関係があるからで、植物の生理に逆らっても良い結果にはなりません。当然直根が張り出すと、乾燥にも、強風にも耐えられる体質と変化して来ます。

ワンダ−ガ−デン 花工房
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